プロボウラー亀井勝江のブログ

(公社)日本プロボウリング協会公認プロボウラー14期生・亀井勝江のブログです

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一皮むける

プッシュアウェイに悩んだ10月号につづきがある。ジャパンカップ(JC)でボウリング漬けの後、ラウンドワンカップで選抜落ちしたら北九州に行くと決めていた。
その日、ボールメーカーであるトラック社の社長デル・ウォーレン氏の日本でのセミナーの最終日で、それに参加出来るには選抜落ちが必須。数年前、アメリカに行った時、そのデル氏のアメリカでのセミナーに使用された教材のCDを、ボールのメジャーをしてもらったその共同作成者のボールデザイナーのモリッチ氏にもらっていた。
それはプリントアウトすると、74ページもの膨大な教材で、その中の投球編には、「Modern」と「Older」に分けたイラストがある。その頃、新しいボウリングというものに興味があったので、その回答集のような気がして、その投球編を含めて全ページを辞書を引きながら見た。それを見て独習していたものの、肝心なところが、わからなかった。だから、今年のアメリカのトレーニングセンター行きだし、JC漬けだったわけ。
その作成者のデル氏のセミナーが開催されるという北九州へ、運“良く”選抜落ちして飛んでいった。
個人レッスンでないのが残念だったけれど、そのイラストのプッシュアウェイのレッスンを本人から受ける事が出来たのだから、夢のような大幸運。
先月号のコラムで書いたプッシュアウェイのタイミングの私の悩みというのは、簡単に言えば、大きく出すプッシュと、小さく出すプッシュの功罪がわからなくなっていた。デル氏は、大きいのを「Older」と書いている。たしかに、JCでのPBAも、日本の若手の小気味良いボウリングをする女子プロたちも小さい。そこを理解したくて、この3カ月、プッシュを大きくしていた。小さいプッシユは、やってみても判らなかったのだ。それで、行き詰まってしまっていた。
JCに続く北九州でのデル氏のセミナーは、思惑通り、期待通りの解決セミナーになった。
デル氏が「Modern」と書いている小さいプッシュは、「これだけ?」と思うほど小さいので、体がなかなか反応しないけれど、トーナメントは続いているし、出たい事もあって、2日間の練習だけで試合でこれをやるという暴挙をしたから、スコアには結びつかないけれど、良い!私には。
デル氏は、今回のJCに参加したPBAにも、少し大きいプッシュのプロはいる。日本のタイトル保持者の女子プロにも大きいプッシュの人もいると語る。
どちらを選ぶにしても・・・とあとに続く英語が聞こえなかったけれど、ほかの要素もあるから結果が答かなと私は思う。だから、大きいのがあながち悪いわけではない。
現在、日本で発行されている初心者用のテキストには、プッシュアウェイからの流れを“1・2・3・4”と分解してある。それと同時に重心の移動が行われるけれど、ここをどのようにするかという説明も理解も紙面では難しい。これを、感覚的につかめる人は上達が早い。ただ、左脳型といわれる私は、それが出来なくて、長年苦しんでいたのだ。
この重心移動が安定して出来れば、一皮むける。
この小さなプッシュは、どうしても出来なかった重心の移動が楽になったのだ。これで私は一皮も二皮もむけるかも。
あんまりむけてたまねぎになって困るけど。  


2006年11月号