プロボウラー亀井勝江のブログ

(公社)日本プロボウリング協会公認プロボウラー14期生・亀井勝江のブログです

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亀井は“ひよこ”か?

先月号に少し触れた「手遅れ」「手早」の事。
このところ、少しスコアがまとまってきたけれど、いまだに、頑固に「手遅れ」にこだわっている。練習では、目指している「手遅れ」気味のタイミングになっているのに、スコアをつけた時、「手早」気味のボウラーを見ると、ふっと「手早」になってしまう。
まだ「学習」が終わっていないのかな?
“ひよこ”は始めて見たものを親と思ってしまうという。これは「動物行動学」では「刷り込み」と言うそうで、ボウリングでの亀井への「刷り込み」は、バレリーナだった。島根で初めてのボウリングでBB賞をもらって、競技会でトップになりたいと思ったのがボウリングとの出会い。その時出合ったボウラーは、ボールを離した(リリース)後、高く上がった右手と横に伸ばした左手、それにけり足がゆっくりと優雅に動いて背の高いきれいな女性だったからなおの事、毎回バレリーナの踊りを見ているようだった。
  その後、初めて女子プロボウラーを見たとき、リズムとタイミング、スピードの違いに衝撃を受けた。それ以来、その違いをどう変えていけば良いのか判らず、手探り状態でもがき苦しんでいた。引越し先の岡山で、男子プロ、女子プロたちのレッスンの機会も出会いもあって、バレリーナは「手早」で、ボールがピンに着くまでの時間が長く手の持って行き場がなかったんだ、それが刷り込まれていたんだと気が付いて以来、「手遅れ」への憧れと挑戦はプロになってからも続いた。
“ひよこ”の「刷り込み」からの脱却は、後天的に物を覚えていく事で可能になる、これを「学習」というらしい。
その遅々として進歩しなかった「学習」もいろんな手練手管を駆使してようやく卒業かなと思うものの・・・。
最近練習していて面白い事に気がついた。良いタイミングが掴めてしっかり投げられるぞ、と思った日。お客さんボウラーたちのタイミングがすばらしく良くてしっかり投げているのだ。反対に亀井がテレテレの日は大抵テレテレになっている。逆に亀井が頼りにする日もある。サムレス(ボールの親指の穴に指を入れない投法)でボウリングを楽しむ若い人たちだ。サムレスは、タイミングが合わないとしっかりと投げられない。タイミングがつかめない日は練習をやめて、そんなボウラーを見つけてぼーっとみている。
これも「刷り込み」「刷り込まれ」かな。
多かれ少なかれ誰にでも「刷り込み」はある。今はテレビもあるし本もある。日本の世界の優秀なプロボウラーも見る事が出来る。質の良い「刷り込み」をしっかり見極めて見つけて。“ひよこ”からの脱却に時間がかかると、頑固亀井になります。
 追伸 この「学習」の手錬手管は幸いな事に“ひよこ”の目を肥えさせました。これほんと。


2012年4月号