プロボウラー亀井勝江のブログ

(公社)日本プロボウリング協会公認プロボウラー14期生・亀井勝江のブログです

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集中するって?

先月、大掃除ならぬ小掃除で見つけたプロに成り立てのジャパンオープンで、TV決勝に進出した折のVHSテープが補修されて帰ってきた。先月、デビュー当時のボウリングを見てがっくりきていたものの、決勝まで上り詰めたのだから、少しは良いところがあるかもと思っていたけど、良いなぁ。リリース時の手足のタイミングが良い。もっと良かったのは、ボールの通過点だけを見ていたこと。これは、巨人の元選手柳田氏のアドバイスだった。(2004年3月号”見つめ合う“に掲載)TVでは、3位決定戦と優勝決定戦の2ゲームしかないけれど、ここにくるまでずっとこの調子だった。レーンの変化が見えてその対応が出来、ラインがびしびしと決まっていったのを思い出した。そのうちに、カットラインぎりぎりで通過した予選で悩んでいたタイミングが、いつの間にか合ってきて勝ち上がって行った。それよりもっと驚いたのは、周りを見ていないのだ。当然相手の投球も見ていない。今この状況におかれたら、レーンを読むとか、ボールの選択をするだけではなくて、対戦プロへの羨望とかやっかみなどの雑念が渦巻くと思う。このVHSをみているとそれらが全く見えない。ライバルはレーンだと思い知らされた。
集中力というのはこの事かと、早速、翌日の愛媛県松山市で開催されたブランズウイックオープンでほかのプロがどうであれレーンだけに集中することをやってみた。簡単ではなかったけれど3ゲームまでは出来た。先日の広島オープンでも。やっぱり3ゲームまでしか出来なかった。軽口をたたいて口元が緩んだだけなのに。その後雑念がぞろぞろ。ほんの少しのきっかけで集中力が消えた。
週刊誌にゴルフの賞金ランキングトップを走る女子プロが2位に追い越されそうでピンチになっていると言う記事のなかで、「ゴルフは自分との戦いで、他人の影を感じるとミスが出る」とそのランキングトッププロへのベテランプロのコメントが載っていた。投球術にも関わる言葉と思うけど、亀なんざ、いつも「影」を感じている。
多分だけれど、初心の頃は周りを見る余裕がないから、「影」を感じないのかもしれない。
余裕が出来始めたらその「影」とどう付き合うか。
トッププロたちはどうしているのだろう。歯向うか、柳に風か・・・・。
ライバル・レーンとの戦いが8ゲームまで伸びますように。せめて6ゲーム!


2013年12月号