プロボウラー亀井勝江のブログ

(公社)日本プロボウリング協会公認プロボウラー14期生・亀井勝江のブログです

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むかしのボウリングと家族を見た日

  ずっと気になっていた部屋の整理をした。大掃除をしなくても、一日に一箇所すれば良いとそれが家事のコツだと書いてある記事を見た。それなら出来ると始めたのだ。
まず、25年分のボウリングマガジンの整理からと、入っていたラックを取り除くと、その下の箱にVHSのテープが20本入っていた。去年、娘が結婚する時に渡そうと必死で探したのに出てこなかった物だ。それはホームテレビで放送された、「ママさんボウラー奮闘記」という30分の密着取材番組のテープ。プロになってすぐの朝6時30分から夜までの1日を追った取材だった。娘たちは小中学生で、その頃の写真はあっても動画はこれだけだったから本人の当時の姿を見せたかった。100本はゆうにあるテープの中で、取材、出演した番組だけを特別に保管したはずと探していたのだ。それが見つかった。それからは掃除そっちのけで、ちょうど帰省していた娘夫婦と“家族総出演”のテープを見た。
涙ぐむ娘を横に見ながら、プロボウラー亀井は家族の風景はさる事ながら、レッスン、チャレンジ、練習、トレーニング、それに家事といろいろ盛り込まれた映像のすべてが素朴さと一生懸命さであふれていて、見とれてしまった。
それより何より、投球術だ。なんとまぁ。
当時、トーナメントプロは150人くらい居てランキング27位だったから、それなりのボウリングのはずだと、それをもっと見たくて、ほかの取材テープも開けてみた。
ボウリングを変えたいと、フロリダのケーゲルトレーニングセンターへ行って今年で7年目になる。その視点から見ると、それこそ「何とまぁ」だ。右足の先から右手の先まで全身をビューっとまっすぐ伸ばしたフォロースルー。手早気味のタイミング。集中力と、新人が持っている勢い、それだけで、賞金を獲っていたのだろうとそういうボウリング。でもこの頃、このボウリングでジャパンオープンTV決勝まで勝ち進んでいるから、もっと優れたところがあったのだろうと、そのテープを見たかったけれど、残念な事に補修が必要で見ることが出来なかった。
これ以降、賞金が取れなくなって、ボウリングを変えていったのだった。残したテープはその変遷が良くわかる。大山由里香プロのように、プッシュアウエイを大きく上に上げている時期、4歩助走でありながら完全3歩もある。この時は、手遅れを体現したくて、練習していたのを思い出した。VHSの時代が過ぎて、CDになってもその後の変遷記録はもっと残っている。この頃から苦しんでいたんだと、涙が出た。
流れを見ていくと、賞金に届いていないけれど、ケーゲル以来の今のボウリングが一番良い。どこがって?何が良くて、何が足りなくて、何を足せば良いのか判るから。25年前この視点で検証出来ていればね。さて、あとは練習のみ。間に合えば良いけど。
良い秋の日でした。


2013年11月号