プロボウラー亀井勝江のブログ

(公社)日本プロボウリング協会公認プロボウラー14期生・亀井勝江のブログです

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長い6週間か、短い6週間か

「6週間」。4月にフロリダのケーゲルトレーニングセンターに行ったとき、コーチからの言葉。教えた事を、どんな事があっても6週間続けてくれという。投球術な事は、頑固で粘っこい性格だから続けていけるけれど、ボールのピッチ(穴のあけ方の数値)については考えてしまう。去年のピッチの修正ではなく、今年は大幅な変更だった。コーチの意図を汲み取ろうと、正確に再現したボールで練習しても、よくわからない。回転が増えたようにも、スピードが多くなったように思えない。その為の変更だろうに。この数値は何だ・・・・・?と、ドリルの勉強をした25年間が邪魔をする。何か、意図があるはずと、ケーゲルでのコーチたちの言葉の数々を思い出そうとしても、その前にスコアボードを見てガックリくる。
もう6週間このボールで格闘した。もういい。ピッチを変える。
順位決定戦まで1週間ある。プラグ(穴埋め)して、新ピッチでテストボールを作って、順決に必要な最低4個を何とか間に合わせようと決心した。
丁度その折、大先輩の山賀昭子プロから、順決で食事しましょうとメールが届いた。
タイトル数6個を持ち、アメリカで1977年WIBCのトーナメントでシングルとオールエベンツを制覇した猛女プロ。「投げていて、どこでも痛みを感じたら、すぐ止めるの。」という言葉を聴いたのは私がプロになった頃と思う。「あははは」と笑いながらの決断の早さの言葉が好きでずっと心に残っている。
彼女もボールのピッチに悩んでいる時期があって、「今度は良いわよ」と一斉に6個以上変更したとメールがあってしばらくすると、「だめ。変える」と又、一斉に変更をするというのが続いていた。多分、違和感を感じての速攻決断だろうと思う。性格からして。
その山賀プロに、これ幸いと私のドリルの顛末を話し、もう、「我慢が出来ないからピッチを変えます」と言ったら、賛成してくれるものと思ったら、「少し無謀ね」と言われてしまった。それで、気が付いた。順決までの1週間でドリルは出来たとしても、フィティング調整して、各ボールの性格を把握するための練習時間が取れないのだ。
「少し無謀ね」の後、アドバイスがあった。ケーゲルのコーチたちの言葉につながってくるのだ。コーチたちの意図だと思うくらい、あまりに貴重なので、少しの間秘密です。変更作業しなければ、あと1週間、投球と攻め方の練習が出来る。
今回、「6週間」があったので、我慢しただけで、よくよく考えれば、トーナメント直前にこの「無謀」をいつもやる。ドリル変更の作業しながら「病気だよ」思いながらやめられなかった。だから、トーナメントでスコアが出るわけがない。わかっていながらやるから怖い。やっぱり病気?
「6週間」というのは、考えて悩んで、それでも我慢すれば新しい何かが掴めるという期間かも。


2008年6月号