プロボウラー亀井勝江のブログ

(公社)日本プロボウリング協会公認プロボウラー14期生・亀井勝江のブログです

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祝 野球殿堂入り 大野 豊 氏 の事

今年1月11日に野球体育博物館から、広島東洋カープのOB大野豊氏と外木場義郎氏の野球殿堂入りが発表された。
大野豊氏の事を、広島の人は「大野さん」と話すとの事。私も、大野さんの方が良い。
2004年4月号のコラム「あれもこれも」に書いたけれど、壊れた半月板の治療法を探している時、スポーツ紙のライターに冷凍療法に誘われて白竜湖の奥まで行った。その時一緒に治療を受けたのが、肩を壊しておられた大野さんだった。これが最初のご縁。
その頃、白島町にあったヒロシマアリーナの専属プロで仕事をしていた。このあと、小早川毅彦投手と一緒に来店された。2人ともプロの投手なので、さすがに投球のタイミングは完璧。大野さんは慎重なのか丁寧なのかタイミングは良いのにスピードが出ない。色白で若武者のような小早川氏は抜群の投球タイミングでストレートの超速球。まあブンブン丸。探求者のような大野さんは回転させたいと考えながらの投球に見える。曲がる回転方向のボールの離し方をほんの少しアドバイスしたらきっちり曲がる球質のスピードボールを体得してしまわれた。2人の性格の違いがおかしかった。
東京でのトーナメント・プリンスカップの時、宿舎はプリンスホテル。そのホテルにはヤクルト戦最中のカープの選手も居た。ロビーで大野さんに出会い、「銀座に親しいママのお店がありますけど」とちょっと誘ってみた。なんとあっさり「良いですよ」。それからが大変。ママが大野さん来店と伝えるとメディア関係者が多いお店でその常連さんたちが大喜びだと。その中でも紋次郎の中村敦夫さんがカープのファンで、待ってると連絡が入った。でも紋次郎氏は、早朝の仕事のために残念がって帰宅されており、私は紋次郎氏に会えなくて残念だった。でも、大野さんはニコニコと穏やかにいろんな話に付き合っておられて、そこに居たみんながファンになったと「写真誌に狙われるよ」と笑いながら送ってくれたママから聞いた。
白竜湖の奥への車中、私自身タイミングの調整方法に悩んでいたので、速球投手の大野さんに、「タイミングが合わなかったらどうされますか?」と、手か足とか変えるのかなと気軽に聞いた。ところが、「投げるのを止めて走ります。」だった。殿堂入り報道記事のなか、衣笠祥雄氏はコラムで「とにかくよく走った」とたたえていた。
車中の意外な答と衣笠氏の目線は同じで、記憶の中の貴重な言葉は大野さんの生き様だったんだなと今思う。
あれから、写真誌に載るような艶話はないけれど、引退パーティへ参加出来たし、たとえ儀礼としてでも、年賀状は必ず元旦に届くという人柄と、殿堂入りの写真は好青年の頃より優しく重厚でそのかっこ良さは変わらず、殿堂入りは当然のように思えて、本当にうれしかった
それより、当時の投球フォームのきき腕側の膝を深く折るその使い方、うらやましい。出来ないのだ。亀井も走れば少しは近づくかな?


2013年2月号