プロボウラー亀井勝江のブログ

(公社)日本プロボウリング協会公認プロボウラー14期生・亀井勝江のブログです

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トム・ワトソン

20日の海の日を含んだ連休は、やんごとない事情があって、家の中でじっとしていた。
見たいTV番組がないときは、ゴルフ番組を見ている。以前に書いたように、女子プロのウエェアを見ているのだけれど、石川遼が推薦で出るというので覗いた全英オープン。最終日になっても、-2とか-3しか伸びないスコア。自然のままに見えるラフ、荒々しい波を眼下にして海風吹き荒れるコース。ゴルフ音痴の私でも難しいコースだとわかる。
それでもロケーションは最高でこんなところで競技するのであればゴルフも良いなぁと思って見続けた。
石川遼も、一緒に回ったタイガーウッズも予選落ちしたけれど、日本の久保谷がトップグループにいて、一時トップになっているのに、淡々とゲーム展開するので、また見続けてしまった。
そのうち、トップグループメンバーの一人のトム・ワトソンの名前を司会者と解説者が繰り返し連呼するのだ。「59歳で・・・・。」私より若いじゃんと目をこらす。ところが、この方はPGAの有名なスター選手で、この全英オープンで私でさえも知っているあのジャック・ニクラスと優勝争いをした人という。
-2のシンクとプレーオフとなり優勝ならず2位となった。にもかかわらず。司会者も解説者も最終ホールを見に来ていた選手たちもギャラリーも泣いていた。
59歳での争いと言う事での賞賛らしいと後で知った。私には「59歳」より、去年の10月に股関節を手術して術後2ヶ月半でクラブ持ったという解説者のその一言が衝撃で、この後、コースを歩く脚とクラブを振るときの脚腰ばかり見ていた。
しなやかではないけれど、しっかりとした足取りは、とても9ヶ月前はベッドだったとは想像も出来なかった。4日間でおおよそ30kmを歩いた術後の足腰はプレーオフで少し崩れたように見え、ラフに何度も打ち込んで優勝の可能性は消えた。
やんごとない事で家に篭っていたのは、6月に不注意で右脚をねじって怪我をしたからだ。「そのまま様子を見ましょう」という医師に強引といえるくらい頼みこんで手術をしたのだ。全英オープンの頃は術後20日目だった。リハリビは重さをかけないでとにかく筋肉を作るだけ。年齢的に脅威的な速さで回復はないと覚悟はしているものの、あせっているのは担当医に見透かされていて「復帰したいのでしょう?ならば」と、釘をさされ続けて動けないのだ。
でも訳もなく不安なのだ。
トム・ワトソンでさえ、2ヶ月半経ってクラブを持ったではないか、年齢も筋肉も骨の質も違うとしても私はまだ20日だ、と言い聞かせながら見続けた。プレーオフの最終ホールでの1打を残した時、4日間プレー中にこやかだったトムソンの顔に涙が見えて私も泣いた。
私自身に泣いたのかもしれない。
復帰したとしても、力量も違うから優勝争いに程遠いのは判っている。ただ、今迄努力し続けたその続きをして、結果を見たいのだ。


2009年8月号